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46.昨今の私の日常
 「梅の花が一輪咲きました」- 後編

 2017年第3号  - 猩猩 梅原 陽介 -

  

前号「昨今の私の日常 -梅の花が一輪咲きました- 前編」からの続きです。 

  

  •  細君は、五時半には起床します。

  •  そして、朝食の支度にとりかかります。
  •  前述の五ないし六品です。
  •  朝食が済むと、洗濯物を選別して袋に投入し洗濯機をセットします。
  •  掃除です。寝室、居間、キッチン、洗面所、脱衣室兼、洗濯場、トイレ、玄関です。
  •  その頃には、洗濯が終了しています。
  •  細君は、洗濯機から洗いあがったものを取りでします。
  •  そして、選別された袋から取り出した洗濯物を一枚づづ丁寧にたたみます。
  •  これは、「さいくんのせんたくぽりしー」なのであります。こうすれば洗濯物はしわにならずによく乾きたたみあげるときには至極簡単なのであります。

  •  これは、我が家の洗濯哲学なのであります。
  •  嫁いで言った二人の娘も梅原家家訓として行っているようであり、義母が恐れ入っていられるようであります。
  •  暫しそのままにしてから件の竿に干します。
  •  さすがですね、干したタオルはほぼ四角、シャツも左右対称形、いずれもテーブルの上に置いただけですぐにたたむことができるのであります。
  •  洗濯物は、秋冬は、二時から三時、夏季ですと午前中に一度午後に一度、薄物であれば三度目の取り込みができます。瀬戸内海の晴れやかな天候が大きく影響していることは確かでありますが、細君の洗濯物哲学が大いに役立っていると思っています。
  •  しかし、洗濯物もずいぶんと少なくなりました。
  •  子供たちが我が家を賑やかしていた頃、私が現役であった頃に比べれば何のことはない分量、五分の一、それ以下でありましょう。従って、私は良いとこ取りをしているずるき奴なのであります。あたかも理解のあるご主人のような顔をして・・・。
  •  それから二日ないし三日に一度は、食材をはじめとした買い物に出かけます。
  •  それも、いい食材、新鮮な食材、旬の食材、栄養バランスを考えた食材、しかも予算を熟慮した最高の買い物をしてくれます。

  •  そのために、三店から四店を回ってくれます。スーパー系、百貨店系、地元スーパー系、生協系であります。これはすごいことであります。これこそ主婦のパワーでありますね。しかも、賢いパワーです。
  •  そして、家計簿。結婚以来、四十七年間一日たりとも欠日はありません。
  •  従って、毎月の年金振込日には、当月の予算化が施行されるのであります。食費、医療費、水道光熱費、保険料、車両経費、旅行積立、などなど十数種類にわたります。
  •  これがまた素晴らしいいのであります。
  •  
  •  綾部にいた頃のある日の昼下がり、庭の草引きをすることになりました。細君は、一緒にするのを嫌います。
  •  何故か?それは手法と結果が大きく違うのです。
  •  こうなんです。
  •  私は、草むしりをやるのですが、細君は、真に草引きなのであります。
  •  私は、手で引きます。ですから草の葉だけがちぎれてしまいます。見た目はきれいに見えますが、三日もすれば草が生えてきます。
  •  細君は、ピンセットと鎌で草を根こそぎ引き起こします。従って、日が経てば、結果は歴然・・・。
  •  こんなですから、日々私も頑張っています。
  •  私、こんな毎日を送っている今日この頃であります。
  •  細君と私、晩酌は細君はやりますが、私はほとんどやりません。
  •  細君は、旬のものや美味なるものを好みますが、私はそれほどでもありません。
  •  私は旅行嫌いですが細君は楽しみます。行く先も、細君は、各地名所旧跡を探訪しますが、私は、どちらかというとかび臭い古道具屋や骨董屋めぐりが好きであります。
  •  細君は、人の話をよく聞きますが、私は話を聞くというより話したいほうであります。
  •  細君の掃除は四角い部屋は四角く掃き、隅々にまで気を配りますが、私は、四角い部屋は丸く掃いてしまいます。
  •  他にもいろいろ違いがあります。こんな夫婦がかれこれ五十年近く住まいしているのであります。
  •  細君は、このように言ってくれています。
  • 「お父さんが先に亡くなったらどうしよう。寂しいし、年金減るしなあ・・・」
  • 「私が先に逝ったらどうしよう。お父さんが心配やし。ご飯の用意が出来るやろか」
  • 「病気になったら、ちゃんと病院に行けるやろか」
  • 「若い夫婦と、うまくやっていけるやろうか」
  • などなどであります。
  •  そんな細君に私は答えます。
  • 「私は、”百歳まで生きます”から大丈夫ですよ。」
  •  そんな私に細君はこう言います。
  • 「私が死んだらそれでいいから、話の好きな若い嫁さんでも貰いなさいな。あははは・・・」
  • 「そんなもん、口数だけ多い、金なし、元気なし、頑固者の爺に来るわけないやろ」
  • 「そら分かりません、世の中は広いで、蓼食う虫も何とやら、あはははは」
  • 「ほな、あなたも、イケメンでお金をたくさん持っている男はんでも探しておくこったね
  • え」
  • といういつ終わるともわからない会話が続きます。
  • と言いながら、一つ考えが違うとそれなりに喧嘩が始まります。
  • 「もうよい、分かった」で始まって、私の反省が見られるまで続きます。これには閉口してしまいます。
  •  そのくせ何かあると「おとーさん、ちょっときてえ」であります。
  •  もめごとの上位は、常に細君であります。
  •  しかし考えてみますと、これが長年連れ添った夫婦なんでしょうねえ。血のつながりもないのに、心根だけで……。


  •  過日、同年代の集まりで、こんな話をすると、返ってきた言葉が
  • 「あんた、贅沢や、そんな気の付く嫁はんはおらんで、あんたがいろいろ叱られるのは、若い時によっぽど奥さんに迷惑をかけたんやろ」
  • でありました。
  •  わたしは「その通りであります」と答えて会場大爆笑でありました。そんな大爆笑の中で、少しばかりの幸せを感じるのでありました。
  •  さあ皆さん、生きていれば、日々何事となく事は起るものです。
  •  ほどほどに楽しみ、大いに笑い、些か怒り、時には一つ呟いてみては如何ですか。
  •  自分の思いを・・・。
  •  これでお判りでしょう。
  •  我、細君の旦那操縦法。つまり、自分が先だっただ際に、私が自立生活できるように訓練してくれているのであります。


  •  「清潔・整頓・健康」これこそが、高齢者の一人住まいの自立三原則であります。
  •  細君の後ろ姿に腹を立てながら、感謝をしている今日この頃なのであります。
  •  一週週間ばかり前から膨らんでいた三色咲の梅の盆栽が、春を知ってか、咲き始めまし
  • た。

  •  白、濃い桃、薄桃掃き出し戸を開けると、仄かに香りが漂ってきます。
  •  この盆栽も、私が動けなくなる前に嫁ぎ先を探さねば・・・などと考えます。

 平成29年 2月29日 猩々記 

  

 

 

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