イギリスの離婚制度

オックスフォードの街並み
ようやく寝室の電気が直り,快適に眠れるようになった弁護士の竹田有希です。
現在,イギリス人の約60%がキリスト教徒であると言われており,宗派としては,英国国教会とカトリックに分けられます。
カトリックは教義上,離婚を認めていないのに対し,英国国教会はこれを認めています。この英国国教会成立の経緯はよく知られた話です。
敬虔なカトリック教徒であった英国王ヘンリー8世が,妻キャサリン・オブ・アラゴンと離婚し,アン・ブーリンと再婚するためにローマ教皇に離婚許可求めましたが,ローマ教皇は許しませんでした。そこでヘンリー8世は,離婚・再婚を許容する新宗教すなわち英国国教会を立ち上げました。
今回は,そんな情熱的?なヘンリー8世の離婚・再婚に絡めて,イギリス(特にイングランド)の離婚の制度についてお伝えしようと思います。

クライストチャーチ
日本では,夫婦が離婚に合意し,離婚届を役所が受理すればいつでも離婚することができます。
しかし,ここイギリスは婚姻してから1年間は離婚できず,離婚には司法の介入すなわち離婚判決が必要とされています。ただ,幸いなことに(?),イギリスでは法的別離・別居の申立てをすることができ,離婚判決を待てない夫婦は別離・別居の判決を得て別居することになります。
これにより同居義務などが免除され,それぞれが新しい生活をスタートさせるになります。宗教上の理由で離婚できない方もこの制度を利用するようです。
また,離婚判決を得るためには,「婚姻が修復不可能な程度に破綻していること」(以下,「離婚事由」といいます。)が必要で,次に述べる離婚事由のいずれかが存在していなければなりません。この点は日本と似ています。
離婚事由は,
- ①不貞行為
- ②不合理な行動(DVなど)
- ③遺棄(失踪も含む)
- ④夫婦双方が離婚に同意しており,かつ2年を超える別居期間があること
- ⑤夫婦の一方が離婚に同意していないが,5年以上の別居期間がある場合
の5つです。
なお,①及び②は,共同生活に耐えられなくなる程度でなければならず,③については少なくとも2年間継続して遺棄されたことが必要です。
さらに,イギリスでは離婚申立ての際に,子供の養育や財産分与に関しても取り決めておかなければなりません。
日本のように,とりあえず離婚を先行して,後で財産分与や養育費について話し合うということができません。
イギリスでは,原則として離婚後も父母の両方が親権をもつので,父と母それぞれの日々の子の養育にかかる負担割合を考慮し,負担が少ない方が他方に養育費を支払うことになるのが一般的です。また,子供の養育に関して,クリスマスなどのホリデーを誰と過ごすのかなども取り決めた上で,これらを陳述書に記載して裁判所に提出します。

クライストチャーチの外観
このように,イギリスは日本と比べて離婚手続きが煩雑で,時間もかかるのですが,離婚率はイギリスの方が日本より高いようです。
イギリス人が高いハードルを乗り越えて離婚をするその姿は,新宗教を成立させてまで離婚・再婚をしたヘンリー8世を彷彿とさせます。

クライストチャーチの内部

セブンシスターズ

バラ園のバラ

ハリーポッターの撮影場所にもなったクライストチャーチの食堂

ポーツマスに移されたヴィクトリー号

リージェンツ・パークのバラ園

ロンドン塔内のホワイトタワー
